
たまご嫌いも食べられる“コロンブスの茶卵”
「株式会社ぶらうん」の取締役専務・佐々木将司さん。
四万十川上流域に位置し、豊かな自然に囲まれた四万十町。「株式会社ぶらうん」は、同町で50年以上に渡って採卵養鶏業を営んでいます。
「株式会社ぶらうん」の看板商品といえば、「コロンブスの茶卵(ちゃまご)」。20年ほど前に、水や肥料を抑えることで作物の美味しさを引き出す“永田農法”との共同開発から生まれたたまごです。
飼料には高知県産茶葉の粉末と良質な植物性原料のみを使用。騒音や大気汚染といったストレスとは無縁の、標高230mほどの穏やかな環境で鶏を飼育。
大切に育てられた鶏から産み出されるたまごは透明の卵白が特徴。生臭さもなく本来の旨みが感じられ、たまごが苦手だったという人も「これなら食べられる」と喜ばれています。
スイーツでたまごの魅力をアピール
真っ白な見た目が特徴の「こっこぷりん」。
現在、会社を切り盛りするのは3代目の佐々木将司さん。
「コロンブスの茶卵」を多くの人に知ってもらいたいという思いから、スイーツカフェ「Cocco Rando(こっこらんど)」を2012年に四万十町にオープン。自社のたまごを使ったスイーツの販売を始めました。
「採卵養鶏家が手掛けるからには、たまごの風味を大切にしたスイーツを提供したいという気持ちは強く、それは今も変わりません」。
卵白ベースでバニラ風味の「こっこぷりん」は店を代表する人気商品で、「高知家のうまいもの大賞 2015」では3位に選ばれました。
より身近なたまご商品を
「だし巻きたまごは実際に販売しています」と佐々木さん。
プリンやロールケーキ、シュークリームなどのスイーツは評判を呼び、さらに佐々木さんはたまごを使ったお惣菜の開発に着手します。
「スイーツの次はお惣菜をやろうと当初から考えていました。性別や年代を問わない身近な存在ですし。だし巻きたまごや茶碗蒸しのような、たまごとより密接した料理も多いのも理由のひとつですね」。
以前参加したワークショップで講師の方々からの助言を参考にしながら、試行錯誤の末に「ごちそうたまごどうふ」が生まれました。
安心安全な食材を使用した「ごちそうたまごどうふ」
タマゴに見えるフォルムは偶然の産物だそう。
「ごちそうたまごどうふ 四万十トマトのコンソメジュレ」は、たまご豆腐に四万十とまとを中心にした野菜のコンソメジュレをかけて食べるというもの。
「最初はたまごどうふではなく、茶碗蒸しの予定だったんですね。しかし、マーケットをリサーチしたら茶碗蒸しはどこも作っていて種類が多い。今から新規参入しても厳しいかなと思って、ならたまごどうふはどうだろう? と試作したらいい感じで、これでいこう」と佐々木さん。
見た目も鮮やかなジュレには四万十町で作られる「四万十とまと」を中心に、安心安全な国産野菜を使用。トマトやズッキーニ、タマネギそれぞれの食材や食感を楽しめ、コンソメとも相性抜群。
自家製たまごどうふの上品かつ濃厚な味わい、ぷるんとした口当たりもたまりません。
高知県産ユズを使った姉妹品もあり、こちらも爽やかな風味で好評です。
女性人気の高い商品で大賞受賞
野菜多めでヘルシーなところも人気。
味はもちろん、その斬新なスタイルと手軽に食べられる点が評価され「高知家のうまいもの大賞2019」で応募総数122点の中から一番の栄誉である大賞に輝きました。
「前年のこっこぷりんが3位だったので、今回は1位を目標に自信作でと思っていました。ごちそうたまごどうふは簡単に食べられて仕事や家事で忙しい女性から特に人気と聞いて、これならと応募しました。商談でも3位だとインパクトが弱いなって感じたので1位は素直にうれしかったです」と当時を振り返ります。
翌年には、第34回高知県地場産業大賞の「地場産業奨励賞」も受賞しました。
さらなる商品の開発を
受賞後は県内外から問い合わせが相次ぎ、大賞の商品として県外各地での高知フェアの販売品として出品。今もお中元やお歳暮の季節にはギフト販売でのオファーが絶えません。
また、濃い目の味でお酒のツマミになると、父の日の商品としても好評を博しています。
四万十町の農家さんから、うちの収穫物も使ってほしいと声を掛けてもらえることもあり、それらを使っての新製品や既存商品をブラッシュアップなど、常に刺激に満ちた日々だそう。
「たまごどうふだけ販売して欲しいという声もあって、それもいいかなと思っています。自分としては茶碗蒸しが諦めきれないので、挑戦してみたいですね」と意欲的に語る佐々木さんの姿が印象的でした。
(DATA)
事業社名:株式会社ぶらうん
住所:高知県高岡郡四万十町東大奈路331-144
販売所:こっこらんど本店、こっこらんどフジグラン野市店、他